「全てとっておきたい」中学生、どうする?
先日の思春期片づけ講座が終わった時に、
「お時間がない方やこの場で質問しづらい方は、
アンケートに書いてくださいね。
ホームページでお返事します。」と伝えたら、
質問をいただきました。
中3の息子が「思い出の品」と言って捨てるものを選べず、全てとっておきたい!と収納にギューギューです。とっておいてあげるべきなのか?減らしてもらう為の良い声掛けなどありましたらアドバイス頂きたいです。
子どもは成長と同時に必要な物や
好きな物がどんどん変わりますから、
「不要な物を減らす」ができないと
増える一方なのが悩ましいですよね。
「とっておきたい思い出がたくさんある」
と感じている息子さんは幸せなんだなあ、
と個人的には思いますが、
現実的に考えた場合、
「捨てる物がない」という相手には
冷静に確認すべきことも、あるんです。
- 捨てさせられるのが嫌なのか
- 本当に大事だからとっておきたいのか
- 整理するのが苦手・面倒くさいのか
は、見極めた上で対応を考えるのがお薦めです。
1.捨てさせられるのが嫌 ならば
思春期キッズの場合、基本的に
「親のいいなりになりたくない」気持ちが強いです。
なので、過去に「自分の意に反して捨てさせられた」と
感じた経験があるならば、警戒している可能性があります。
その場合はまずは
「今後は要不要の判断には口を出さない」と約束し、
信頼してもらうところからスタートです。
100%自分で決めていい、となると
主体的に考え始める子は多いです。
(親御さんが同席しない作業では、
片づけに関する自分の意見や希望、
困りごとをたくさん教えてくれるんです)
2.大事でとっておきたい ならば
思い出の品の一番シンプルで基本的なルールは
「スペースを決めてその量を守る」なんですが、
今回はそれをすぐに受け入れてもらえなさそうな印象ですね。
その場合は「大事な思い出がたくさんある」
というお子様のその気持ちに寄り添って
「もっと保管スペースを作れないか」
から考えてみましょう。
・子ども部屋に増やす
・別の部屋に増やしてあげる
・収納方法を工夫してスペースを増やす
・「思い出の品以外」で減らせる物を考えてもらう
「減らしてほしい」という親の本音は封印し、
子どもと一緒に「真剣に」考えてみて下さい。
子どもの気持ちを尊重して真剣に考える姿を
見せた上での「ごめんけどこれ以上は難しいな」
が伝わると、子どもも真剣に考えてくれます。
また、今回のご質問は
中学生活が残り半年で、おそらく受験も控えている
息子さんも心身共に余裕のない時期ですね。
「とっておいてあげるべきなのか」と迷う余地があるならば、
受験が終わって気持ちや時間にゆとりができるタイミングまでは
思い出の物の見直しは延期したほうがいいと思います。
高校生になる節目の方が、気持ちの整理もしやすいでしょう。
ただし、その場合も
「受験勉強に集中できる最低限の環境づくり」だけは
大事だと伝え、一緒に相談しましょう。
3.苦手・面倒 ならば
万が一「全部大事な思い出」というのが
整理から逃げるための方便ならば(笑)、
もう少し親がリードしないと
お子さんは多分何もしないまま
どんどん汚部屋化する一方でしょう。
本来子ども部屋は両親が子どもに
「与えてあげている」空間ですから、
思春期の子どもであっても
「個室での自由とプライバシーは尊重するかわりに、
あなたにも部屋をある程度適切に管理する義務がある」
と伝えるのは、とても大切です。
その上で、
苦手な子なら「整理作業そのもの」を
質問をしながら手伝ってあげましょう。
(片づけ作業でのプロの役割は
要不要を考えるための質問をしながら
最後は本人に決めてもらうことです)
苦手なのではなく面倒くさい子(または時間がない子)なら、
「ルールを一緒に決めて作業を代行」
する方が早くスッキリできます。
(片づけ作業の現場でも塾や部活で忙しい
中高生の場合、この方法をとることもあります)
ルールというのは例えば
「こういうアイテムはこの棚の右半分に収納する」
などのモノの住所のルールから、
「この雑誌は何年何月号より前はすててもいい」
などの要不要のルールまで幅広いです。
「知らないうちに勝手に捨てる」さえしなければ、
片づけの代行作業は結構できます。
(親御さんも苦手な場合はプロに依頼するのがお薦めです)
ただし、手伝う・代行するは、
「親子関係が基本的に良好」でなければ、厳禁です。
日頃の会話やお願い事が
「しぶしぶながらもやってくれる」ぐらいなら受け入れてくれるでしょうが、
「会話なし・部屋に入れてくれない」という状況なら
片づけの声かけは、やめておきましょう。
(まずは日常会話が普通にできる関係に戻す事からです)
具体的な声かけ
親御さんの性格や普段の言い方にもよりますし、
具体的な言い方例はきりがありませんが、
例えばこんな伝え方はいかがでしょうか。
- 「過去の物を全部思い出にすると、今の毎日が不便になるよ。
部屋でもっとくつろげて、思い出も楽しめるよう、ちょっと一緒に整理してみない?」 - 「とっておきたい物を決めるのは君自身だよ。片づける場所や方法は、私も一緒に考えるね」
- 「何度も取り出したり見たりしているものはどれ?」
- 「迷う物はとりあえず“保留箱”に入れておこう」
- 「特に大事な物は、飾って楽しむのもよさそうだね」
- 「 これはこの箱に入る分だけ、みたいにスペースを決めてみようか」
- 「これは写真に撮って残すのもいいんじゃないかな。現物を手放しても思い出は消えないよ」
- 「アルバムにまとめると美術館のパンフレットみたいでいい感じだね」
- 「懐かしいねー、あの時こんなこと言ってたよね。」
まとめ
子ども部屋の片づけは進め方を間違えなければ、
今の我が子をより深く理解し、一緒に思い出を振り返りながら
親子の絆まで深まる、とてもいいコミュニケーションになります。
子ども達も、「自分好みの過ごしやすい空間」になると
案外ご機嫌に、その状態を維持してくれるんです。
(色々と忙しい思春期キッズですから「いつもきれい」ではなく
「やる時に一気にリセット」派が多いですが 笑)
そんなメリットが手に入ることを想像しつつ、
ぜひお子様の気持ちと時間に余裕がある時に、
上手に声をかけてみて下さいね♪