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実家の片づけが上手くいかない理由とその対処法

実家の片づけが上手くいかない理由とその対処法

お片づけのカウンセリングや講座でよく質問される
「親・実家の片づけ」のお悩み。

私が理事をつとめる親・子の片づけ教育研究所(ファミ片)
で普段お伝えしてるのは、
「親が我が子に片づけを上手に伝える方法」ですが、

その逆の実家の片づけも「親・子の片づけ」ですね。

「我が子に片づけてもらう」よりも難しいのが、
「親に片づけてもらう」事です。

シニア向け片づけ講座は大人気!

「シニア世代は捨てるのが苦手」、
「片づけたがらない」と決めつけがちですが

そんなことはありません。

私も時々依頼されますが、全国的に
シニア向けの整理収納講座の人気はすごい!
すぐに満席になります。

捨てられないけど、本当は何とかしなくちゃと思ってる。
これからの人生、もっと身軽に心地よく暮らしたい―。

その気持ちは、他の年代の片付けに悩む人と
変わらないなあ、と実感します。

親の片づけが難しい本当の理由

では、親・実家の片づけが難しい本当の理由は
なんでしょうか。

  • 「物が足りなくて苦労した」世代だから?
  • 「もったいない=物をとっておくこと」と
    しつけられた世代だから?

それも確かにありますが、一番の理由ではありません。

シニア世代向けの講座でお話していると、

最初から前のめりに聞いていらっしゃる方も、
最初は斜に構えながら聞いていらっしゃる方も、

講座後は具体的な質問をしてくださったり、
「来てよかった、やっぱり整理しなくちゃね!」と、
わざわざ感想を言いに来てくださったりします。

伝え方に気をつけさえすれば、
「片づけの大切さ」に素直に共感して下さいます。

じゃあ、どうして親の片づけは難しいのか?
それは「身内である我が子に」「遠慮のない言い方で」
ダメ出しされるからです。

親の気持ちと子どもの気持ち

親にとって子どもというものは、
いくつになっても「小さなわが子」。

何かあったら助けてあげたい、
いつまでも頼られる存在でありたい相手。

そのわが子に自分の暮らしや家を
「ダメ出し」される体験は、

自分の老いを突きつけられ、
「守られる」側になった事を
思い知らされる体験でもあります。

だからこそ、
子どもの言い方に腹が立ち(実は傷ついて)
素直に受け入れられたなかったり、

「助けはいらない、困ってない」と
強がりたくなる気持ちもよくわかります。

一方、子どもの方はというと、

もちろん親を心配し、気遣う気持ちが大半
ではあるものの、やはり

親の衰えを感じて不安になったり、
昔よりも散らかっている実家に
自分がストレスを感じたりして、

ついつい遠慮のない、雑な言い方を
しちゃいがちですよね。

「なんでこんな物までとってあるの?」
「大丈夫?」
「もうちょっと~したら?」

なんて言葉や気持ちは、
たとえ我慢したとしても伝わる。
だって家族ですから。

片づけに興味を持ってもらうには

親の片づけスイッチを入れたいと思ったら
こんなことを心がけてみましょう。

1.自分の荷物を引きあげる

要不要を子ども自身が判断できる物から
はじめましょう。例えば、

  • 自分の使っていた家具や思い出の物、
  • 実家に「置かせてもらっていた物」

「我が子の物」は、親には捨てづらかったりします。
子ども主導で整理を進めましょう。

2.片づけに関係ない「困り事」をサポートする

子どもが気になっている片づけではなく、
親が困っている事に耳を傾けてサポートしましょう。
例えば、

  • パソコンやスマホの使い方
  • 暮らしの話や愚痴を聞く

「実家の状態」ではなく「親自身」を気遣い
喜んでもらえるサポートをしましょう。

3.片づけに関わる「困り事」をサポートする

それまでは「実家や親に対してダメ出しをしてくる」
と嫌がっていた親も、

我が子が自分の気持ちを尊重し、
自分の困り事に寄り添ってくれると実感できれば、
片づけの悩みも、自然と出てくるはずです。
※親の悩みのいくつかは、片づけと関係しているはず

その時には、親への尊敬と愛情をこめて、
「物を減らしてもらう」ためではなく、
「今よりも快適に楽しくに暮らせる」よう、
手伝わせて欲しい、と伝えてみましょう。

親が片づける気持ちになってくれた時は

運よく親もその気になってくれ、
一緒に片づけ作業をスタート出来た時は
こんな事を心がけましょう。

1.親の意思を尊重する

親が一番警戒しているのは
「捨てたくない物を捨てさせられる」ことです。

ですからまずは
「勝手に捨てたりしないし、お父さんお母さんが決めてね」
と安心してもらった上で、

「①使うもの ②使わないけど取っておきたいもの
③処分するもの に仕分けてみてね」
など、分別のルールを一緒に決めましょう。

「子どもに強制されない」となれば自然と
「ちゃんと考えて自分が決めなくちゃ」
という責任感も生まれます。

2.急がず焦らず、成果を励ます

「これは~だからずっととっておいたのよねえ。
でも~だし、どうしようかしら…。」

など、実際の要不要の判断になると、
親は自分の物を一つ一つ手にとっては
自分に言い聞かせるように話しながら考え、
決めていくかもしれません。

最初は少しまどろっこしいと思うでしょうが、
このプロセスを経て人は少しずつ「要不要の基準」
が明確になり、判断が早くなります。

物とのストーリーと親の人生によりそいながら、
「よく使う物」「保管するだけの物」「処分する物」など、
親が判断した物を物理的に仕分ける作業を担当しましょう。

そして、進み具合を実感できるよう、
「ここがスッキリしたね!」「ゴミがこんなに出たね」
など、小さな変化・進歩を一緒に喜び、励ましましょう。

結果が出ている事を感じられると、
要不要の判断にも片づけ熱にも勢いがつきます。

3.物にまつわる思い出話を楽しむ

実家の片づけは、「早く結果を出そう」と思わず
「親子の会話を楽しめる時間」と割り切った方が
楽しめます。

実家の色んな所から出てくる
ビックリな物たち(笑)をきっかけに、

自分の子どもの頃の話を聞けたり
親の若い頃の話を聞けたり、
物にまつわる思い出を聞けたり
今だからこそ言える事を言い合えたり

実家の片づけを通して交わす会話が
親子の絆を深めてくれると思います。

片づけを断られたときは

そして、何をしてもダメな時は、
親の「片づけたくない」を
受け入れる覚悟をもちましょう。

例え家族であっても、
相手が本当にやりたい事・やりたくない事は
尊重する事が、一番大切です。

そして、片づけてくれなくても
時には会いに行ったり電話をしたりして、

いつかできなくなってしまう
親子のコミュニケーションを、
大切にしてください。

「やっぱりちょっと片づけてみようかな」
と、親の気持ちが変わった時には
サポートすればいいですし、

親の気が変わらなかったとしても、
親子の会話を楽しめる豊かな時間になるはず。

「片づけ」を通して、
親子がお互いをより分かりあい、尊重し合い、
一緒に過ごす時間を楽しめるように。

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